釜石市 下水処理施設の被災状況

2012年8月1日

2011年3月11日、東日本大震災後、団として初めて被災地を訪れた。

 岩手県沿岸部である宮古市の漁港、市場を視察し車窓からではあるが、町自体が機能を失った山田町・大槌町などを見ながら釜石市に向かった。震災から1年4か月が経ち道路整備など最低限のインフラ整備はできているように感じられたが、町には「土台」の跡だけが残り人の住んでいる様子は伺うことはできない。話題になった震災瓦礫も、海岸近くの集積所に山積みのままでその多さに改めて驚いた。個人的ではあるが前職時代にこの地域を営業で周っていたことも有ったが、雰囲気が全く変わっているせいか当時の様子を思い出すことが出来ない。

 さて、今回は釜石市の下水道施設である大平下水処理センターの被災状況と復旧・復興の取り組みを視察した。

 最初に、震災当時の記録映像を見てその凄さを感じた。今、説明を受けている管理棟の1階部分がすべて水没している映像は、リアル感があった。

 この施設自体も津波の被害にあい、1階の管理室、水処理系である初沈~終沈も全損し施設の機能はすべて停止した。

 人口約3万7千人で下水普及率68.2%の釜石と41万の人口と普及率98%の横須賀を一概に比べる事は出来ないが、生活に密接に関係する下水処理が機能停止になったことと、その普及に関しては参考になる。

 下水処理施設は津波の被害が考えられるからと言って、内陸部や高台に設置することはできず、やはり海岸沿いに設置しなければならない。そのような状況のなかで大切なのは、「電源施設」を守ることだと説明をいただいた。

 施設が水没することは避けられない。復旧を考えると「電源施設」を最優先になる。しかしながら、その「電源施設」の普及が一番大変だという。例えれば、ポンプも陸上型と水中型があり、やはり水没しても動く水中型を採用することが望ましい。また、電気室も密閉構造にし、扉も「灯台使用」が最適と教えられた。確かに、すべての施設や機器は「電力」を必要としているので最優先に考えるのは当然である。

 現在は、中級処理で対応し、25年度の完全復旧を目指し取り組んでいる。

早期復旧を願うものだ。

 下水処理施設の被災で考えられる2次被害が水質汚濁である。この点について質問したところ、状況が状況のために特に水質汚濁に伴う漁業補償などの問題は起きていないとの事だ。

 横須賀市においても本年1月に「横須賀市下水処理場等の津波対策基本計画に関する検討委員会」を発足させ議論を始めている。インフラ復旧は急務であるので、貯めとく事の出来ない下水。被災地の教訓を活かし施設整備に取り組んでいかなければならない。