大仙市 教育・学力向上について

2012年7月1日

平成19年から実施している全国学力・学習調査の結果において常にトップレベルにある秋田県。その中で今回は大仙市を視察した。

大仙市は2005年に1市6町1村が合併し人口89千人の市である。教育長の冒頭のあいさつの中で「少子化はチャンスである」「ひとりひとりにきめ細やかな教育が出来る」との発言は、教育に対しての積極的な取組みの表れと感じた。

大仙市の学力状況を正答率でみると全国平均、県平均より高い事がわかる。そして特徴としては、無回答率が国、県平均と比べると大きく違う事がわかった。この事は、学習習慣を身に付け、基礎学力の着実な定着と活用する力の向上に努めている表れである。教育委員会もこの事を「最後まで粘り強く問題にいどんでいる」と評価している。この様な学力を身に付けるために大仙市として学校の教育の重点項目は以下のとおりである。

学校教育の重点

 ①子どもたちにとって楽しく明るい学校づくり

 ②創意工夫を生かした特色ある学校づくり

 ③学力・心力・体力がステップアップできる学校づくり

 ④家庭や地域社会と一体となった安全・安心で開かれた学校づくり

そして事業推進のキーワードを

 共・創・考・開 としている。

教育目標を「1人1人の子どもをどのように育てるか」に置き、基盤はしっかりと作り、それに続く教育カリキュラムは全校で揃えてはいない。地域の特色を出させ、その特色を年2回行われる教職員会議で発表しあい、全校で情報の共有化を図り良い取組みは参考に出来やすい環境にもなっている。学力も1つ1つ個々の学力ととらえず、総合的学力に注力している。学力は1つ1つがつなぎ合わなければ後に繋がらない。それは義務教育の時にしっかりと身に付けさせ、チャレンジ精神となり高校、大学に活かさせようという取組みである。

地域との連携でまず、PTAとの関わり方も特徴的な取組みが有る。全数回行われるPTA連合協議会に対し学校での取り組みかた、状況、そして学力状況等の資料を全部提供しているそうだ。そういった行動がPTAからも評価され、学校に協力し一緒に課題に取組んで行く姿勢が生まれている。この姿勢は教師にとってはプレッシャーになるもののレベルアップにもつながるとしている。今の学校教育の中では教師の負担を減らす事を重要視されがちであるがこの姿勢は珍しい。

そして地域と連携した「ふるさと教育」も特徴的である。その地域の事、特に歴史文化はそこで住んでいる方が詳しいのは当たり前とし、その方に協力を得ている。また、大仙市で学んだ卒業生、高校生・大学生が小学校、中学校の先生として協力している取組みは地域連携のお手本であると痛感した。

現在幼小連携を強化している。園児が小学校に入学してきても、授業を聞く姿勢が出来ていない。遅い学級になると6月になってもしっかりと聞けない学級もある。4月から聞く姿勢が出来ている学級と6月までかかる学級では大きな差が出る。それは小学校と、幼・保とのギャップがあるからだと認識しそのギャップを埋める取組みとして幼小連携を強化している。

このような取組みは市民からも評価をされている。平成23年度の市民による市政評価の中で「学校教育」は重要度・満足度の24項目中第2位の位置にあり市民からも良い評価されていると言える。

本市にとっても教育は重要である。本市ではキャリア教育を児童生徒に対し実践している。この取り組みは、本市はそのキャリア教育を先進的に取り組んでおり、平成20年度には、市、教育委員会、商工会議所の三者でキャリア教育推進に向けての趣意書を交わし、今年度からは、三者が連携して、全国的にも例を見ない「よこすかキャリア教育推進事務局」を設置し、社会と子どもたちをつなぐ「よこすかキャリア教育推進事業」を協働事業として推進している。

「自己の個性を理解し、主体的に進路を選択する能力や態度を育てる」というキャリア教育の目的からすると、職場体験は、その目的を達成する大切な手段であり、そのためには、学校、家庭そして地域の密接な連携が必要と考えである。大仙市の例でもあったように三位一体の連携は重要である。

 また、今後の教育に関して本市の特徴をもっと活かすべきである。言うまでも無く本市は外国人が多い。この事を考えればもっと英語教育に力を入れていくべきである。特徴ある教育に対し市内外の親・子は関心が有りその教育を受けようと考えるのである。その事が定住人口減に少しでも歯止めがかけられると思う。