観光施策について

2014年8月1日

全国各自治体が交流人口を増やす為の目的で都市イメージ向上そして観光施策に力を入れている。本市に於いても、観光協会の見直しそして都市イメージ向上の為に新しい組織を設置している。

今回、金沢市が行っている「金沢市観光戦略プラン もてなしの力で育む文化交流の拡大」を視察した。

人口46万人で本市と同規模のレベルであるが、石川県110万人のうち約40%が金沢市民であり、県の中心的地域である。

金沢市のまちづくりの基本概念は、ハード面は「保存と開発の調和」。ソフト面は「継承と創造の調和」としている。冒頭、担当者からの発言に「なるほど」と思わされた。それは、「観光地的なまちづくりをするのではなく、暮らしやすいまちづくりをする」であった。観光地政策をメインに考えると、便利さを追求し元々のその地域の良さ、街並みがなくなってしまう事になり、ゆくゆくは都市イメージがなくなってしまうと解説してくれた。この考えは重要で本市としても参考にし、実施していかなければならないと思った。良い例が、「どぶ板通り」である。本市の観光名所にもなっているが、きれいに整備をしたことによって昔ながらの「どぶ板通り」のイメージが損なわれてしまったという意見が多く出ている現状がある。

金沢市の事例としては、観光地として便利になるように都市整備を行うために用水路を暗渠にして、駐車スペースを造った。しかし、これは城下町として栄えた都市イメージを壊す結果となり、現在では暗渠を外しもとの用水路が見て取れる、昔ながらのまちに戻したそうだ。また、この失敗事例をもとに、「用水保全条例」を施行し都市イメージの保全に力を入れている。

このように、ハード面の「保存」に関して「文化的景観」を大切にすべく、国の重要伝統的建造物群保存地区が4地区ありこれは全国最多である。そして先に述べた用水保全条例などまちづくり関連条例が28条例あり、これらのことから2009年には国の歴史都市第1号に認定されている。また、この評価は国内だけでなく世界からも評価をされている。金沢21世紀美術館は訪れたい国内・海外の美術館・博物館ランキング10位。金沢駅もてなしドームは世界で最も素晴らしい駅10駅に選出され、金沢海みらい図書館に至っては世界で最も美しい公共図書館ベスト25に選定されている。これらを武器に年間1,000万の入れ込み客数と海外からは12万の入れ込み客を目標としている。

ソフト面では、伝統文化・工芸などの継承として、まず、子供への継承では「加賀宝生こども塾」「素囃子こども塾」「工芸こども塾」「茶道子ども塾」を推進させ、職人に対しては育成を考え、職人大学校の設置、伝統的な工法の伝承を行っている。ここでも担当者の言葉が印象に残った。それは、「文化の継承だけでは廃れていく」である。この考えは参考にしていかなければならないと感じた。様々な文化に磨きをかけ、新たなソフト開発をしていく戦略を持たなければならないという事である。

金沢市の観光戦略の考え方を最後に聞いた。

金沢は古都か?   金沢のまちの歴史は約430年、奈良のような古都ではない。

金沢は小京都か?  京都は公家のつくった街、金沢は武士のつくった街、金沢は小京都ではない。

金沢は観光都市か? 保存と開発の調和、継承と創造の調和が、結果としての観光都市に結び付いた。

金沢は?      オンリーワンのまち 金沢!

          保存と開発の調和、継承と創造の調和を大切に、本物を見て、触れて、味わっていただくために、オール金沢で更なる魅力発信に取り組んで行く。

本市も都市イメージ向上と観光には力を入れる事は間違いではない。横須賀の歴史を再認識しストーリー創りをしっかりと行わなければならない。近代国家のはしりである、横須賀製鉄所の歴史的資源の魅力をアピールし、関連して軍港都市として栄えた本市にはまだまだ、埋もれている「素材・資源」があると思う。これらをゆっくりと時間をかけて楽しめる仕掛けづくりも大切である。来年製鉄所150周年を迎えるにあたり、これらの施策に注視していきたい