学校給食事業

2013年10月3日

近年、全国的に中学校給食の実施についての議論が盛んになってきている。本市に於いても先の市長選挙で争点の一つとなった中学校給食。この取り組みについて先進事例である吹田市を視察した。

吹田市は平成16年から「小・中学校給食検討会議」を発足させ平成21年1月に3校をモデル校として中学校給食(選択性)を実施し平成24年1月に全18校に導入をしている。

「小・中学校給食検討会議」は学識経験者、公募市民、小中学校関係者15人による委員会で、会議を重ねそして関係者に対してのアンケート調査の実施を踏まえて、「吹田市の小・中学校給食の在り方について」の提言をまとめ市長へ提出した。提言の要旨は

・保護者の多くが希望する自校調理方式の学校給食は調理室の建設に多額の費用が掛かるので、食堂方式またはデリバリー方式が望まれる。

・家庭からの弁当にするか給食を利用するかを生徒が自由に選択できるようにする。

・食堂方式、デリバリー方式いずれにしても献立の作成については教育委員会が責任を持って作成し、調理室の衛生管理や調理業務の衛生指導を徹底する。

・小学校給食については、人件費の削減を含め全ての面で効率な運営の見直しを図る必要がある。としている。完全給食というわけでなく選択制にしているところは共感ができる。

 全18校、生徒数約9,500人の吹田市中学校給食の内容について詳細を聞いた。給食を利用するには事前登録が必要であり、登録後はインターネットで注文が出来るようになっている。注文は月2回、半月分を事前に注文する形になっているが、注文する日としない日と1日ごとに選択ができる。1か月の献立が事前に配布されるので、メニューによって注文する日としない日とが分かれる時が多いとの事だ。また、給食となると一つの問題が考えられる。それは、滞納問題だ。小学校の給食費滞納問題は全国的なものであるので、中学校給食も新たに滞納問題が懸念されるところだが、吹田市は完全前払い制を採っている。これについて質問すると、やはり滞納対策とすぐに答えは返ってきた。料金の納付についてはコンビニでできるようになっており利便性は高い。また、コンビニ収納となると手数料の問題があるがこれも保護者負担にしており行政の負担は無くしている。保護者の手数料のことを考え1月分の給食費だけでなく、3千円、6千円、1万2千円そして1万8千円を納付できるようになっている。給食費の残高は卒業年度に清算する仕組みになっている。給食の値段だが1食300円(食材250円+牛乳50円)とかなり安い値段設定になっている。献立については提言にも書かれている通り、市職員(正規)の栄養士と業者で毎月決めているそうで、献立はアレルギー対策を考え細かく食材を表記している。

中学校給食を導入して問題は無いかとの質問では特にないとの回答であった。弁当持参の生徒と給食利用の生徒との問題などを聞いたが全くないそうだ。もう一つ学校側の問題点について聞いたところ、やはり業務が増えることについては懸念があるそうだ。確かに、学校側から見れば新たな業務が毎日増えることについて懸念を持つことは当然であろう。気になる利用頻度を質問したが明快な答えは得られなかった。折角、多額な費用をかけて構築したシステムを利用していなかったら費用対効果の面で批判を受けるのは当たり前だからである。毎月何人くらいの生徒が利用しているか、そのことが気になり質問したが、返ってきた答えは月に1回でも利用したことがある生徒の数は40%という回答であった。この数字の取り方は理解が出来なかった。

中学校給食は吹田市だけでなく大阪府内のほとんどの中学校で実施或いは実施予定しているそうだ。これは府として補助金を出している関係からだ。吹田市は現在給食納入業者をプロポーザル方式で2社決めている。空き教室を配膳室に改装するなどして初期費用を抑え、ランニングの委託料は年間約7,400万円だそうだ。これが高いか安いかは判断材料が少ないため出来ない。

また、各学校の購買部ではパン、おにぎりを引き続き販売している。これに対しての補助は出ていない。

本市も今後給食について様々な議論をしていかなければならないが、完全給食はやはり難しいのではないかと思う。初期投資費用、ランニングコストを考え議論していかなければならない。