農業従事者育成について

2014年8月2日

全国的に農業従事者数は減少傾向にある。本市においても同様で販売農家戸数は2010年統計によると384戸で、2005年の前回調査421戸と比べると約1割減少している。今回、金沢大学が実施している「能登里山里海マイスター」育成プログラムの取組みを視察した。

 この育成プログラムは、能登で活躍する次世代の農業人材を養成することを目的に金沢大学、石川県と近隣2市2町の共同事業で行っている。

 就農・起業に意欲を燃やす45歳以下のチャレンジ精神旺盛な方を募集し1年間かけて講義・演習・実習を実施し育成する内容だ。この中で農業者養成塾の塾長の話を聞くことが出来た。塾長の言葉で印象に残った言葉は、「コスト意識をもて」「コストと販売額を意識しろ」「数字を明確にしろ」そして具体的には「1ハウスでトマトを造るなら坪最低2万の収益をあげろ」「きゅうり1苗でいくらの販売額になるか」「土に金をかけろ」であった。

農業従事者の不安は生活が出来るかである。

そう思っていながらコスト意識は無い。

お金(コスト)の掛けかたが間違えている

販売農家従事者数869名(2010年統計)、65歳以上が47%、30歳から49歳のいわゆる働き盛りの割合が18%の状況である。

 本市として、この状況をどう見るかだ。農業従事者を育成し増やして行き、農業を市内産業としての位置付をしっかりと確立させるかどうかだ。

 現在本市としての農業に対しての政策的なものは殆どない。作付に対しての補助などだけであり、育成を考えての策は無いのではないか。青年就農給付金として年間150万円の補助政策はあるが、育成の考えはないと思われる。

人口減少の中で、職場と住居が市内ほぼ同一地域である農業は理想的な環境である。また、地元(地産)の農産物が食べられることは魅力的な要素でもある。そう考えると、市として農業従事者の育成を進めるべきと思う。

農業の不安は生活が出来るほどの収入があるかである。先にも触れたが、塾長曰く、「コスト意識が無い」「コストの掛け方を間違えている」そして「農業は儲かる」との強い言葉は忘れられない。私個人も農家の方々はいわゆる“おおざっぱ”という印象は、塾長の言葉から推測するとさほど間違ったことでもないかと思った。今後市として農業政策を考えていく中で必要なのは育成である。数回の講義ではなく、しっかりとしたカリキュラムとスケジュールを組んで育成をしていかなければ、販売農家従事者は年々減少して行くのは目に見えている。今後、JAと行政で共同事業としてこの育成を実施していくべきだ。また、行政としてできることとして、定期的に各行政センターで朝市などを実施する事も育成の中での支援になるのではないかと思う。