北見工業大学連携事業

2013年10月2日

近年、全国の大学が「地域連携」のもと様々な取り組みを実施している。

そういう状況の中、平成23年8月に北見工業大学と連携協定を締結した北見市教育委員会を視察した。

数年前まで大学は生徒対象の教育と、企業などと連携しての研究活動が主だったように思えたが、最近では「地域連携」「地域貢献」を大学の活動の一つとしており、その活動が評価対象にもなっている。各自治体も大学が行う「地域連携」「地域貢献」を活用している。特色ある行政サービスを実施しようとする中で大学のこのような取り組みは渡りに船である。

北見工業大学と北見市の連携は、大学と学校等との人的・知的交流を通じ、教育上の諸課題に適切に対応するとともに、地域に根ざした学びを目的とするものだ。協定の内容としては

1) 理科教育の充実・支援に関すること。

2) 国際交流の推進に関すること。

3) 教員のキャリアアップに関すること。

4) 初等中等教育及び高等教育の理解促進に関すること

である。

この中で私が特に注目したいのは、理科教育である。最近では子どもたちの理科離れが指摘され教育界では問題の一つとなっている。連携に当たり北見工業大学の学長からは「子どもたちの理科離れや基礎学力の低下が叫ばれ久しく、小・中・学校の段階から児童生徒の理科好きを促進し、基礎学力の向上や理工系人材の確保・充実、地域の教育力アップ、地域経済の活性化、イノベーション創出のための人材育成等社会的な要請に中長期的に応えていきたい」との話があり、子どもの理科離れが問題化されていることの認識からであろう。

しかしながら、私個人としては子どもたちの理科離れの原因は教える側にもあると思っている。理科を分かり易く、興味を持つような教え方が出来ていないのではないかと疑問を持っているからである。以前に本市の教育研究所の職員との意見交換会でもこのことを指摘し、実際問題そういうことも多々あると認めている。先生自身が教え方を学ばなければ、教えられる生徒の理解度は格段に違いが出るであろう。この協定内容にもその表れか、①理科教育の充実・支援のなかには、教員の指導力向上を図ること、そして子どもたちが興味をわくようなユニークな理科実験の実践支援を大学院生、学部学生が行う事が取り決められている。

 北見市教育委員会からの説明によると、教員の指導力向上などの取組みは全て自主性に任しているとの事である。折角、大学と連携をしたものの残念に思えるので、このことに対し質問したが教育委員会はさほど教員の指導力向上についての問題意識は無く、自主性で問題ないとの回答であった。教職員に対しての研修はこれまで2回行われているがその参加人数は2回とも20人程度だそうだ。この取組み状況からまた一つ疑問に思ったことが、教員のレベルに差が出てそれによって生徒間の学力の差が出ることは無いのか。また、同じように学校間でのレベルの差が出ないのか、である。これについても教育委員会は問題としていないとの事である。とかく教えるのが難しいと言われている理科である。理科については、専門的に教えている塾もあるし、民間会社が出張で理科教室を開いている状況である。

 本市でも、理科教育にはこれからもしっかり取り組みをしていかなければならないのではないか。先生の専門性を考え、小学校でも学校間で理科専門の先生を設置していくことも考えた方が良いのではないか。

 子どもたちの理科離れ、教員の理科離れ防止を今後とも考えていかなければならない。