コンパクトシティについて

2018年7月20日

全国的に人口減少が進み、都市機能や居住地域をコンパクトに集約する政策が各自治体で行われている。

本市は、人口減少社会を見据えたまちづくりの推進として、拠点ネットワーク型都市づくりを目指している。少し細かく言えば、主要鉄道駅等を中心とする市街地の再開発や高度利用を推進する。これによる居住機能や生活利便施設が集積した拠点市街地の形成を図る。駅周辺の拠点市街地とバスでアクセスされている既存住宅団地における店舗などの立地誘導など生活利便性を確保する。人口や世帯数の減少が続き、道路などの都市基盤が十分でない地域の長期的な縮退を検討するとしている。

 このような中、青森市の「まちづく」について視察した。

 コンパクトシティの考え方は、中心市街地等の利便性の良いところに居住機能を集約するのが大半である。しかし、青森市の場合は自家用車の保有率が全国トップレベルでその影響で、電車やバスなどの公共交通の利用者数は減少傾向にある。このことを考えると、利便性の良い中心市街地に住居機能が集約されることは難しいであろう。実際に、コンパクトシティとは逆の方向である、中心市街地の空洞化が進んでいるとの説明であった。青森市の街づくりでの土地利用では、都市を同心円状の3つに区分し、各々の地区の特性に応じた都市整備を推進し、

・都市機能の集約、公共交通の充実を進める「インナー」

・良好な宅地供給を計画的に実施、大規模商業施設などの立地抑制を進める「ミッド」

・市街地化を抑制し、自然景観などの維持・営農環境の保全を進める「アウター」

としている。

 また、コンパクトシティを推進する都市計画として、郊外開発を抑制する条例を施行させている。

・準都市計画区域の都市計画決定

・準工業地域への特別用途地区を都市計画決定(全国初)

 (大規模集客施設制限地区を設定し郊外立地を規制するもの)

これらの条例を施行させ、都市の効率性を高めるコンパクトな複数の拠点づくりと、それら拠点を接続する公共交通ネットワークを有機的に連携させることで、市内各地域の特色を生かしつつ、持続可能な都市づくりを目指している。

 しかし、このような取り組みをしても街のコンパクト化は進んでいない状況だそうだ。

拠点市街地では、商業、業務、医療、福祉、文化、交流、居住などの都市機能の集積を高めるため、地域性を活かした民間の開発などを適切に誘導することが行政としての役割である。しかし、駅前開発は民間主導であり行政が主導して開発は本市の財政状況を考えれば無理なことである。本市特性である、谷戸が多く道路付けがよくない場所では、空き家も増える。増える空き家を解消しようと補助事業をすれば、拠点市街地の計画は永遠と進まないのではないか。街中の空き家と不便地の空き家を分けて考えて取り組んでいかなければ、無駄な事業を進めることにもなる。コンパクトシティの考え方は間違ってはいないが、すでに出来上がっている都市機能をかえるには100年単位での計画にならざるをえないのではないか。行政が何故拠点市街地を推進するのか。インフラ整備に莫大な費用が掛かるからだ。山の上に1軒でも家があれば上下水道は維持し続けなければならないのが行政だ。前述したように不便地で空き家が増えれば、極端な考えではあるが、補助事業をやめそのままにし、自然に駅前などに移転誘導したほうが行政的には良いのではないか。