骨髄移植ドナー支援事業
国内に約48,000人の患者登録者(移植を待っている患者)が存在し、年間約2,000人が早期に骨髄移植手術を必要としている患者がいる。
今回、骨髄移植ドナー支援事業を行っている習志野市を視察した。
まず、骨髄移植を必要とするのは白血病や再生不良性貧血などで、血液を正常につくれなくなった患者さんで、移植は治療の一つである。その移植事業は、日本骨髄バンクが主体となり、赤十字そして各自治体の協力で行われる公的事業である。この3者はそれぞれ役割があり、自治体は主にドナー募集のための普及啓発、広報そして検査採血を行っている。現在約46万人がドナー登録をしているが、その数はまだまだ足らない状況にある。移植には患者さんと骨髄提供者(ドナー)の、HLA型(白血球の型)の一致が必要で、兄弟間で4分の1、他人では数百から数万分の1の確率で一致するとされるため、移植を受けられない患者さんが多くいるため、より多くのドナー登録を必要としている。
登録自体はさほど難しくなく、献血と同じように約2mlの採血で済む。各自治体が支援事業として行っているのは、実際に移植手術になった場合に対してである。
骨髄提供手術自体は難しくないが、平均で4日間の入院と日常生活復帰まで約1週間かかるので、その間仕事や家事を休まなくてはならず、通常はその負担は全て提供者の負担になっている。手術費などの負担はないが、仕事を休むリスクは存在する。善意に訴えるにしてもその負担は少なくはない。そこで各自治体はその負担を軽減させる支援事業に乗り出している。
習志野市は平成25年4月に、からだ・心・歯の健康づくりを推進し、地域社会全体で、個人の健康を支え守るために社会環境の整備に取り組むまちづくり条例として「健康なまちづくり条例」を制定し、この条例の趣旨を更に周知し、理解してもらい、健康なまちづくりを進めようとする習志野市の意思を子どもたちから高齢者までわかりやすく表現した「健康なまち習志野」宣言を発布した。 このような背景のもと、千葉県内では初めてとなる支援制度を導入した。
習志野市の場合、提供者に1回10万円、そして提供者が従事している事業所に対して1人につき5万円を助成している。25年に制度を始めたが、実績は26年に1人である。実績が多い少ないは問題でない。骨髄移植を必要としている方々にどれだけ支援できるかである。しかしながら、全国でも17県96市町村がこのような支援事業を行っているが決して多いわけではない。(27年1月現在)取り組み姿勢にバラつきがあるのは当然だが、埼玉県に至っては県内市町村全てが支援事業制度を実施している。ちなみに神奈川県内は0である。
様々な考えがあるが、財政的負担・そして行政サービスの負担も殆どないこのような支援事業は実施する方向で検討を始めるべきではないか。