福井市・異学年教科センター方式

2009年10月1日

全国学力最上位の成績を収める福井県。今回その中で平成20年4月から新しく始められた、福井市の「異学年型教科センター方式」を視察した。
教科センター方式とは全ての教科の授業を特別教室で行う方式で、自分達のクラス(教室)には登下校時と給食の時ぐらいしか使わず、あとの時間は全て別の教室を使っている。
学校内はオールオープン教室で隣の授業の様子も丸見えの状態。この様な状態で授業が円滑に行われるか心配になり校長に質問したところ、全く心配は無く、かえって刺激になり学力向上に繋がっていると答えがあり驚いた。この学校はその名の通り異学年の交流を重視している。通常の学校は学年ごとにフロアがあるがこの学校は「クラスター」とよばれる異学年のフロアで生活をしている事は珍しい。異学年集団で自治活動を展開し自分たちで問題解決し、上級生には自覚と責任感を、下級生には上級生の指導を仰いで伝統を受け継ぐと同時に自分たちの新たな伝統をつくり出して行こうとする気持ちが求められるとの事。実際に一年中対抗戦が行われている感じだそうだ。合唱コンクールやマラソン大会、学校祭等の行事を始め、Cタイムという総合時間もクラスター単位で活動したり課題を追求している。また、このクラスターをまとめていくのは先生ではなく生徒主体のクラスター委員が運営する。このような生徒主体の活動は今、教育に多く求められている「自律」「創造」が培われるものと思う。これは非常に参考になる。
学び方のスタイルも、先生の話を聞いて黒板に描かれたことを写すのではなく、先生からまず学習課題や大きなテーマが掲げられそれについて試行錯誤していくのがこの学校のスタイルだ。自分の疑問や問題を友達に出し合い、それぞれが持っている情報を手掛かりにして解決へのきっかけを掴む。考えがまとまったら他の生徒にわかってもらえるように表現をしている。他人に理解してもらうにはまず自分がしっかり理解しなければ出来ない。このようなスタイルで「分かったつもり」でいるから本当に「分かった」に変わっていく事が納得した。
今回の視察では学校生活の基盤や学力充実の場、これらを総合的に伸ばしていく方策が見えた気がする。異学年で生活するクラスターや教科センター方式は今後の学校教育に参考になると思う。