全国都市問題会議

2010年10月1日

第72回全国都市問題会議に出席し「自治体の危機管理」について学んだ。

ゲリラ豪雨のような風水害を始めとし地震等の自然災害や犯罪、テロ等の人為的なものや事故等が最近報道で取り上げられている。その中でよく取り質されているのが「危機管理」である。企業においては以前から「危機管理」は当然のように行われていたが、行政に至ってはようやく本格的になってきている感じである。本市においては、今年度より市民安全部の中に「危機管理課」が設置され専門的に取組んでいる。何時来るかわからない、あるいは起こるか分からない事に緊縮財政の中で予算を掛けるのは難しいと言われていたのは今では昔の事になり、今では危機管理は日常化し本市のように専門部署を設置する自治体も増え、不測の事態に備える為のガイドラインを作成しているところも年々増えている。自治体では災害に備え、災害時には当然“公助”として活動する。公の助けが公助。自分自身、自ら助けるのが“自助”。そして、隣り近所助け合うのが“共助”とし、“自助・共助・公助”の3助が良く言われるようになっている。平時においては119番や110番すれば当然救急車や消防車そしてパトカーなどが駆け付けるが、災害時にはそれら“公助”は当てに出来ず、無理である。災害時など危機管理時に重要、当てになるのは“自助”である事をしっかりと住民自身が理解していかなければ「危機管理」意識は生まれないのではないかと思う。とかく“公助”意識が強いと言われている日本国民、住民に対して行政としてしっかりと“自助”の重要性を訴えていかなければならない時期に来ているのではないか。災害に備えるのは当然ではあるが、ここまでやれば安心というものではないのでコストが膨大にかかる事が想定されるが、緊縮財政の中では難しい問題である。コストのかからない「危機管理」でのキーワードは「顔の見える関係をつく」と紹介があった。自治体の関係者は日頃から警察や消防それに自衛隊やマスコミなどと意思疎通を図る努力を重ねることが望まれる。担当者の間で相手を知っているかどうかで、緊急時のコミュニケーションは格段に差が付く、と話が有り改めて「顔の見える関係」を認識した。これは、“公助”の中だけの話ではなく、“共助”でも同じ事が言えると思った。知っている人と知らない人との間では対応が変わる事は当然ある。希薄になっている近所付合いもそれぞれの方が考えていかなければならない。そう考えると危機管理は「人」の問題であるとも言えるのではないか。講師からも危機管理は「人」の意識に左右されると言われていた。危機管理とは危機に対する「認識」・「意識」・「知識」そして「組織」の4識を向上させるのが重要との事。自治体は平時から危機に対応する組織を準備していく事の重要性も取り上げられ平時の対応としては具体的に以下のように述べられた。

1、組織の整備

2、危機管理体制の点検と整備

3、危機管理指針の作成

4、24時間体制の整備(消防機関との連携)

5、人材育成

6、職員の意識向上

そして、危機を経験した自治体の例が挙げられた。それは、不測事態が発生すると「72時間」が極めて重要になるとのことだ。危機発生後の数日間は情報が空白化したと答えるところが多い。災害や事故の規模が大きくなると、被災地の情報手段は寸断され、孤立する事もある。被災した住民や関係者が求めているのは「情報」である事は間違いない。72時間で問題になってくる事は1、自治体に情報がない 2、市民への情報伝達手段の欠落 3、人事編成に欠陥 が言われる。こういった実例を踏まえ自治体としては「危機管理」の体制を整えなければならない。

様々な意見を集約すると「危機」は当然ではあるが、いつ起きるかは分からない不測の事態であり、「人」がコントロールすることは出来ない。「危機管理」は「人」がコントロールできない事を「管理」する事である。コントロールできない危機に備え事前の体制づくりを進めておく事が危機管理にとっては重要であるが財政難な自治体や危機に脆弱な自治体のみで危機管理を行う事には無理がある。不測の事態に対応するにはそこに住む市民・企業と行政が連携して事前に危機管理体制を整備しておくことが重要である。多種多様な危機に対して「予防」「準備」「応急」「復旧・復興」という4局面においてそれぞれとるべき具体的な対策を想定する必要がある。

様々な面で災害時において行政の役割が多いと思われがちだが、やはり重要なのは自助であると改めて認識した。最後に“自助・共助・公助”の割合は6:3:1の割合は覚えておかなければならないと思った。