三重県避難所マニュアル

2011年4月1日

3.11の大震災の事も有り防災計画を早急に見直していかなければならない。その観点から今回は三重県で取組んでいる「避難所マニュアル」について視察をした。このマニュアルの目的は「大規模な災害が発生した場合、誰がどんな状況で避難してきても混乱なく運営する為の手順を示すこと」である。

特徴として

1、マニュアルの主な利用者は、行政担当者・施設管理者・避難者である。

2、避難所の運営の主体部分は、避難者による自主運営を原則とします。

3、策定されるマニュアルは、平常時に地域住民自らが避難所運営への事前

対策に取組む際の手引書としても活用することが出来る。

としている。

三重県では阪神淡路大震災の教訓を踏まえ、自助・共助に関する啓発を平成7年から13年度まで実施し平成14年4月には地震防災対策強化地域の見直しが行われ県内の10市町が追加指定された。翌平成15年12月には地震防災対策推進地域が三重県全域に広がり、それに伴い全ての防災対策について見直しを実施したそうだ。また、平成17年には東海・中南海・南海の3つの地震が起きた事を想定し、被害想定の見直しも進めている。様々な見直しがされている中、平成15年10月に避難所運営マニュアルの策定状況調査を全国804自治体に対し行った。調査の結果、マニュアルを作成している自治体は約20%で三重県内では約5.4%であった。また調査の結果から広域大規模災害では、マニュアルが重要。そして、マニュアルを作成する際は、行政・避難所施設管理者・地域が三位一体となって検討すべきと結論が出た。今までのマニュアルは殆どが職員用のマニュアルであり災害時にはマニュアル上の職員は活動できない事。実際にその避難所を使う人々がマニュアルを理解していないのは問題等の問題点が出てきたそうだ。我々が日頃実施している防災訓練等を振り返ってみると確かにマニュアルは職員と一部の防災ボランティアの方々だけで理解しており職員がいない場合は想定しておらず避難所に避難された方も自らが避難所内で何か活動するとは思っていない。三重県でも原則として避難所の運営は自治体が行うとしていますが、阪神淡路大震災の教訓から行政主体の避難所運営は難しい事が分かり、避難者が避難所運営に関わる事が行政と避難者との無用な衝突を避け円滑な避難所運営の為に必要である事も明らかになったそうだ。避難所運営は最も初期に避難所に到着する可能性の高い住民を主体とした避難所運営体制という考え方で出来ている。

平成15年に住民参加型の避難所運営ワークショップを県内5ヵ所で立ち上げ様々な議論の平成16年3月に避難所運営マニュアル策定指針が制定され現在県内29市町中10市町でマニュアルが策定されているそうだ。各自治体規模により策定のばらつきがあるので県としてその策定の支援策で県職員OB,消防OB、海上保安官OB等を非常勤職員として雇用し指導員として従事しているそうだ。

今回の視察を実施し、本市においても避難所マニュアルの作成をしていかななければならないと実感した。同じ市内でも地域毎の特性等があり全市同じマニュアルでは通用しない。地域の特性を熟知している市民が行政、施設管理者と共に共通認識の下で作成していかなければ意味がない。また地域の方は、ただ避難者としての意識でなくお互いに避難所を運営するという意識を持ってもらう重要性も強調していかなければならないと思った。行政としては本市の利点を活用すべく、自衛隊の活用、米海軍の活用も改めて考えなければならない。