空き家・空き地条例 視察

2011年7月1日

横須賀市内でも空き地や空き家が増え、周辺の生活環境に影響を及ぼしつつある。今回は東大阪市で制定されている「空き地の適正管理に関する条例」について視察した。

 空き地の管理が適正に行われていないと雑草の繁茂やゴミの散乱・不法投棄さらには悪臭や害虫の発生等、地域の生活環境が悪化することが多々ある。そんな中、2009年国土交通省「土地政策の中長期ビジョン」で空き地・空き家対策を政策課題の一つにしている。各自治体においては1960年代から空き地管理の条例制定が進み、今回視察した東大阪市では1975年に制定された。

 東大阪市の条例の目的は「空き地の適正管理について必要な事項を定め、もって市民の健康の保護及び生活環境の保全に寄与することを目的としている。ここで定める空き地の定義については、「空き地」( 現に人が使用していない土地、人が使用していても相当の空閑部分を有し人が使用していない土地と同様の状態にある土地その他市長が適正に管理する必要があると認めた土地としている。)「不良状態」(空き地に雑草が繁茂し、若しくは枯れ草、廃棄物若しくは人の生命、身体等危害を及ぼす物質が放置された状態又は空き地がその使用目的に応じ必要な整備がなされていない状態)としている。このような空き地が有る場合市長は空き地の管理者に対し必要な措置を講ずるように段階的に勧告、命令そして罰則規定も定めてある。この定義の中にある「人の健康を害し又は害する恐れがあるとき・・・・」という文言は具体的な状態を定めているのではなく、簡単に言えば担当する職員の判断に任されるもので、いい面もあればその反対の面もあると思う。また、この条例で財産権との絡みについて質問をしたところ、定義にある「人の健康を害し又は害する恐れがあるとき・・・・」や「犯罪又は災害等の発生を誘発するおそれがあるとき・・」でその部分をカバーしているそうだ。様々な住民がいる中で実施現場の職員に聞いてみたところ、勧告や命令書等は1度も出していないそうだ。殆どが管理者に対し「お願い」で済ませており管理者が不明の場合は地域の町内会等が代わり伐採、清掃を行っているそうだ。

 横須賀市内でも空き地や空き家が増えつつある中で、行政としてもしっかりとした条例整備は必要である。東大阪市では勧告や命令書等を出した事はないが、いざという時は条例があると無いでは住民との対応が違ってくる。民・民の問題と済ませる事では無く行政として地域住民の生活環境を守る事もしっかりと考えていかなければならない。