会津若松市・議会基本条例

2009年11月1日

近年全国的に広がりを見せている「議会基本条例」の制定。2006年に栗山町議会で条例が制定されて以来、今回視察を行った会津若松市を含め全国各地の議会で制定の動きを見せている。なぜこのように広まりつつあるのか改めて考えてみると、地方分権時代を迎えるに当たり「議会」の機能が重要視されている事が原因ではないかと思う。一般市民から議員定数、議員報酬、そして議員の役割等が問題視される中で二元代表制の一翼を担っている「議会」として活性化を図り市民から評価に値する存在にならなくてはならないという「議会」の積極性がこの全国的に広まっている「議会基本条例」制定の動きになっているのではないか。
 会津若松市の「議会基本条例」は「市民参加を基軸とした新たなマネジメントサイクルモデルの確立と実践によって、積極的な政策形成を行い、まちづくりに貢献していくこと」を目指したものである。この目標を目指すに当たっては議会内に「広報広聴委員会」の設立しこの委員会が中心に推進しているとの事だ。この委員会の役割はその名の通り「広報広聴」の機能を高めることである。会津若松市の「基本条例」の中心はこの「広報広聴」、「市民との意見交換会」そして、「政策討論会」である。「市民との意見交換会」は年2回、議会全員が班別に市内20地区(行政地区)に出向いて、議会報告のように一方通行的なものでなく、あえて意見交換会を行うものとしている。各地区で議員個人としてでは無く、議会の代表として行っている事は重要である。議員個人の個人的な思い、持論を展開し議案の賛否を意見交換会の中で市民を前にして行っては「議会」としての意見交換会にならないからであり、その心配が私にはありその事を質問したところ、段々と無くなり今では無いとの答えでした。それぞれ議員の「意見交換会」に対する認識の変化の表れだとも答えがあり私の心配は低減した。また、もう一つの中心的なものとして「政策討論会」があるが、その政策の基となるのが「意見交換会」である。
政策決定に当たっては政策形成サイクルがしっかりと立てられており、そのサイクルに従って政策が決定されている。まず意見交換会での「意見聴取」その意見を広報広聴委員会で「意見の整理」「課題の設定」、政策討論会で「重要性の分析」「政策づくり」そして本会議・委員会での「議案議決」といったサイクルが確立されている。この流れの過程は当然「意見交換会」の中でも報告がなされている。
 この様にした活動は条例の第1条に規定している「議会の役割を明らかにする」に合致している行動と思う。
 今市民に求められている事は何か、議会として何をすべきかをしっかりと考え市民の負託に応えて行かなければならない。基本条例を作る事を目的にするのではなく、その先の行動をしっかりとしていかなければならないという事を重要視し、今回の会津若松市の「条例」を参考にしていきたい。